患者さんと
ご家族へのインタビュー
〜血友病と生きる
私たちのいろんな気持ち〜
『消去法の思考』で自分の得意分野を極めていきたい。-塩田博之さん(社会人)と婚約者の新倉恵さん(4/5)
血友病であることを打ち明けられた時は、
ただ、「2人で頑張っていけばいい」と思った。(新倉さん)
お付き合いするにあたっては、塩田さんから、「血友病であること」、「血友病とは遺伝性の病気で、生まれつき血が止まりにくい病気であること」、「今は血を止める治療法があること」、「だたし、関節などに内出血を繰り返していると、将来的に関節の可動域が狭くなり、障害を背負う可能性があること」などについて聞かされました。しかし、そのことに不安を感じることはなく、「何か問題があれば、2人で助け合って乗り越えていけばいいことだ」と思いました。
実は、私がNEET株式会社に入ったのは、心の病を抱えていて周囲とうまくつきあえず、ひきこもりがちな生活をしている中で、「何かしたい」とわらをもすがる思いからでした。そこで、週1回のペースで会社内の公式放送であるニコニコ生放送/動画の配信アシスタントを務めるようになりました。
塩田さんはその動画配信を見られていて私の存在を知っておられたようですが、株主総会を兼ねた取締役リアル会議で直接お会いし、『ダイヤを掘ろう』というカードゲームのカードのイラストを描いてくれる人を探していることを聞きました。私はイラストを描くことが大好きで、昔からイラストをよく描いていたので、その仕事を引き受けることにしました。
以後、Skypeを使って連絡を頻繁に取り合いながら、2人で『ダイヤを掘ろう』というゲームを完成させていきました。その間、私は気持ちに揺れがあって作業が進まない時もありました。塩田さんは、「では、この日までにここまでつくろう」と、先の見通しをたてながら、私をサポートしてくださいました。こうした塩田さんのサポートがあったからこそ、イラストを全て描き上げることができたのだと思っています。
「血友病」ロゴマーク
万一、将来的に塩田さんが障害を背負ったときは、私がそれをカバーすればよいだけの話です。そう確信しているので、迷うことなく塩田さんとつきあい始めました。そして一緒に暮らすようになりました。
「2人で一緒にいれば、いろいろなことができる」。例えば今、塩田さんとはいつも一緒に出掛けていて、足が痛くなった時には私が荷物を持つようにするなどしています。塩田さんからは、「立ち往生するのが怖くて、外出も控えていた。今は、2人で出掛けられるので、安心して遠出ができるようになった」と喜んでもらっています。
また、私たちは、『ヘルプマーク』にヒントを得て、血友病のことを周囲に知らせ、援助や配慮を得られやすくするためのロゴマーク(写真)を作成しています。このロゴマークは塩田さんが素案を考え、私が改良して作りました。
血友病に限らず、自分が病気であることを周囲にカミングアウトできる人ばかりではありません。しかし、周囲がそのことを知っていた方が、より適切な援助や配慮を得られることができます。これからは、2人でこのロゴマークを広め、自分では血友病であることを周囲になかなか言えない人の役に立ちたいと考えています。