患者さんと
ご家族へのインタビュー
〜血友病と生きる
私たちのいろんな気持ち〜
病気を隠していた時もあったが、治療法は大きく進歩。「血友病だから」と諦めずにチャレンジできる“今”に感謝。ーAさん 九州在住(会社員)(1/3)
小学3年生で受けた告知 友達とは違う理由付けができた
幼い頃から、出血を繰り返し、足首や膝が腫れて痛くなり、そのたびに病院に行き、注射を打ったり、状態が悪い時には入院して親からの輸血を受けたりしていました。小学校に入ってからは、体育の授業や運動会など、運動に関するものは全て禁止。何となく、「自分はみんなとは違うな」と感じていました。
小学3年生になり、主治医から血友病であることを告げられ、どういう病気なのかを教えてもらいました。その時は、ショックを受けるというよりも、「ああ、それでか」と、自分と友達との違いに理由付けができて、むしろスッキリした気持ちになったことを覚えています。
血友病に対する社会の認識不足やHIV問題などで病気を隠して過ごす
病気のことは、周りの友達にはほとんど伝えてきませんでした。私の子どもの頃は、「血友病は遺伝的な病気なので、友達には言わないように」と親から教えられる時代だったからです。
小学生時代は、体調が良い時は元気に遊んでいたため、友達から「そんなに遊べるのに、どうして体育はしないのか」と聞かれても、きちんとその理由を説明できずに辛い思いをしました。
中学生になった頃から、足首や膝が腫れて痛くなると、自分ひとりで早めに病院に行き注射を打ってもらうなど、自分で病気をコントロールできるようになりました。そのこともあって、「自分は、体育はできないけど、他のことはできるぞ」と、友達との違いを割り切った目でみることができるようになりました。
大学生、そして社会人になると、私が関節内出血を繰り返していたことから関節障害が少しみられるようになっていたこともあってか、周りの友達は、私の体調に気を遣ってくれますが、あえてその理由を聞いてこなくなります。そのため、私が友達に病気のことを話す必要もなくなりました。
これまで病気のことを伝えた友達は、社会人になってから本当に親しくなった2人ほどです。妻と出会うまでは、女性との真剣な交際も避けていました。