患者さんと
ご家族へのインタビュー
〜血友病と生きる
私たちのいろんな気持ち〜

訪問看護師のサポートを受けながら、家庭療法に向けた自己注射を練習中。-佑介君(小学生)とお母さん 九州在住(1/4)

No.07  今は人に助けてもらってばかり。だけど、将来は発明家になって、名前のように「人の右側に立って、誰かを助けられるように」――。母として、その健やかな成長を願い、訪問看護師のサポートを受けながら家庭療法導入に向けた自己注射を練習中。

生後7カ月目、胸にできたアザが気になり、病院を受診。
虐待を疑われた上に、血友病が判明して大きなショックを受ける。

息子が7カ月になった頃、ぶつけた覚えがないのに、胸にアザ(内出血)ができていました。それまでも、たまに「この子は血が止まりにくいな」と感じたことはあったのですが、だからといって病院に行こうとまでは思ったことはありませんでした。しかし、このアザについては、さすがの私も少し気になり、たまたま息子と出かけた『子育て博覧会』いう子育てに関連したイベントの『専門医に相談するコーナー』で医師に相談してみました。

そうしたところ、医師から「今からでも病院を受診するように」と促されました。すでに診察時間は終わっていましたが、その日のうちに息子を病院に連れて行きました。なんと、そこでまず、"虐待"が疑われたのです。このご時世、子どものアザを診れば虐待を疑い、調べることは、子どもの命を守るための病院としての重要な役割だと思います。ですが、子ども好きの私にとって、まっさきに虐待が疑われたことはとても辛いことでした。

もちろん、病院側にはすぐに「虐待ではない」ことを分かってもらえました。しかし、次に私に突きつけられたのは「血友病の疑い」でした。さまざまな検査を受けた結果、息子が血友病だと確定診断を受けた時には、あまりのショックで頭の中が真っ白になってしまいました。そのとき、主治医から血友病に関する説明を一通り受けたようですが、何1つ覚えていませんでした。それで、後日、主治医からあらためて、「血友病とはどのような病気なのか」など、1時間ほどかけて説明していただきました。

告知後の気持ちの混乱期を乗り越え、前向きな気持ちに。
1歳から保育園に預け、仕事を再開。

こうしてようやく血友病がどのような病気なのかを理解したのですが、今度は、「息子が血友病なのは私のせい?私が悪いの?」、「いや、身内に血友病の患者はいない。では、なぜ、息子は血友病なの?」、「そういえば、最近、赤ちゃんを取り間違えたという報道があったけど、うちの息子も取り間違えられたかもしれない。だって、身内に血友病の患者はいないし」……と疑心暗鬼に陥り、ネガティブな思いが頭を駆け巡るようになりました。ついに、私自身が遺伝子検査を受けることになりました。

その結果、私が血友病保因者であることが分かりました。ただ、そうだと分かったとたん、「ああ、私に原因があったのか」、「なんだ、そうか。そうだったのか」と開き直ったというか、悟ったというか、不思議なことに気持ちが落ち着いてきて、「息子と共にがんばっていこう」と思えるようになりました。

主治医から紹介していただいた『患者会』の勉強会に参加したり、同じ外来を受診している子どもさんのお母さんとお友達になり情報を交換したりして、血友病への理解を深めるとともに、子育ての悩みなども解消していきました。

私は、息子が1歳になった時に保育園に預け、仕事を再開しました。入園にあたって、私は、園長先生や保育士の先生たちに、血友病に関する書籍・雑誌を渡すとともに、「血友病がどのような病気なのか」、「どういう時に、どのような出血が起こるのか」などを説明した他、「何かあればいつでも連絡してください」とお願いしました。小学校入学の際にも同様のお願いをしました。

園長先生をはじめ、保育士の先生たちはとても協力的で、「同じ病気のお子さんをこれからも預かるかもしれないので、これを機会に私たちも勉強します」と前向きに息子を受け入れてくださり、息子がけがをしないように必ず誰かが見守ってくださっていました。