血友病の治療

出血時補充療法

血友病は、凝固因子が生まれつき不足している病気(遺伝性疾患)です。
出血時補充療法は、出血したあとに、完全に止血が確認されるまで、凝固因子製剤(以下、製剤)を注射する、最も一般的に行われてきたやり方です。出血には、目に見えない出血(内出血)と目に見える出血(外出血)があります。内出血、外出血が起こった場合の症状の説明と治療法をご紹介いたします。

目に見えない出血(内出血)

血友病は、どちらかといえば出血が目に見えない内出血のほうが多く、皮下出血関節内出血筋肉内出血頭蓋内出血などがこれにあたります。出血している傷口は体内にあるので圧迫して止めることはできません。
内出血による出血で、血のかたまり(血腫【けっしゅ】)が体の中にできるので、この血腫が周りの組織を圧迫して障害を起こします。
関節の中の出血(関節内出血)の場合は関節の組織全体を圧迫し、関節に障害が出ます。
筋肉内出血の場合、筋肉を圧迫して筋肉が障害されますし、その周りの神経や血管を障害することもあります。頭蓋内出血は出血によって脳が圧迫されて障害を受け、後遺症を残したり、命をなくしたりします。血腫による圧迫症状が出ることが内出血の特徴です。

目に見える出血(外出血)

血液が目に見える出血、これが外出血です。外傷出血、鼻血、口の中の出血、消化管(胃や腸)出血などがこれにあてはまります。体の外へ大量に血が出てしまえば、貧血になってしまいます。したがって出血の量が大きな問題になります。
しかし体の外へ血が出るので、血腫という血のかたまりが体の中のどこかにできるわけではありません。したがって、血腫がどこかを圧迫して何かが起こるということはありません。外出血の中で、傷口が手で押さえられる外傷出血、鼻出血の一部は、圧迫だけで輸注をしなくても止めることができる場合もあります。

参考:
  • 血友病基礎講座(兵庫医科大学 日笠 聡)