重症出血は最も深刻な出血で、早急に対処しなくてはなりません。重症出血が起こったら、できるだけ早く凝固因子による治療を行う必要があります。お子さんが頭、首、のど、または腹部に傷を受けた場合、その傷がどのような種類のものでも重篤な出血が起こる可能性があります。
目次重症出血
頭蓋内出血(ずがいないしゅっけつ)
頭部のけがや傷は脳への出血を引き起こす可能性があり、深刻なダメージを受けかねません。もしお子さんに頭蓋内出血の症状が現れたら、頭にけがや傷があるかどうか分からなくても主治医か近くの救急医療センターに連絡をしてください。その際、お子さんが血友病であることを必ず伝えてください。
- 頭痛がある。
- めまいがある。
- 吐き気がある、または食べたものを戻す。
- 眠れない(寝起きが悪い)。
- 歩行が困難、またはふらつきがある。
- はっきりと物が見えないなど目に問題があるようにみえる。
- 子どもでは、特に症状がはっきりせず、発熱、吐き気、なんとなく元気がないなどの症状が風邪や自家中毒と思われ、治療が遅れることがあるので注意が必要です。
- 主治医か近くの救急医療センターにすぐに連絡をしてください。
- もしお子さんが頭を打ったら、こぶやあざがなく、上記の症状が出ていなくてもすぐに主治医に連絡してください。
- 頭を強く打った場合には、頭蓋内出血を予防するために凝固因子の補充が必要になります。
首やのどの出血
首やのどの傷やけがも注意が必要で、早急に治療する必要があります。のどに出血している場合、気道の妨げになったり呼吸を止めてしまうことがあります。扁桃腺炎、喉頭炎、またはせきがひどい場合には、のどや首の出血につながることがあります。
- 首、口の中のうしろの部分、あるいは、舌の下の部分がはれている。はれていると気道がふさがる恐れがあります。
- 唾が飲み込みにくい。
- 首のまわりの皮膚の色がおかしい。
- 鼻血や口の中の出血がないのに血を吐いたり、せきと一緒に口から血が出たりする。
- しゃべり方や泣き方がいつもと違う。
- 主治医か近くの救急医療センターに連絡をして補充療法を受けてください。
- 症状によっては入院が必要な場合があります。
消化管出血
腸での出血が長引くと、重症の貧血やショック状態になることがあります。腹部のけがや傷、せきがひどい場合には、消化管出血を引き起こす恐れがあります。
- 血を吐く(血液は黒い液体かコーヒーの出がらしのように見えます)。
- 胃のあたりにはれや痛みがある。
- 食べたものを戻す。
- 黒ずんだり、血が混じったり、タールのような便がある(ある薬は、便が黒くなることがあるため、副作用をチェックする必要があります)。
- 極端に力が入らない、または顔色が悪い。
- 主治医か近くの救急医療センターに連絡をして補充療法を受けてください。
- 入院をして、止血のための治療と出血原因の検査が必要です。
参考:
- お子さんが血友病と診断されたご家族のために(小林正夫)