第2回 患者会インタビュー/岩手ヘモフィリア友の会(2/2)
―――患者さんにとって、患者会の役割は非常に大きいものになっているのでしょうね。
藤井情報に関しては、今はインターネットで簡単に入手できる時代です。でも、自分から積極的に情報をとりにいく患者さんばかりではないと思います。それを考えると、患者会のなかでの情報交換はとても大切で、場合によったら、本当に必要な情報は患者会側から半ば強制的であっても伝えていく、ということも必要かもしれません。
―――藤井さんが事務局をご担当されたことをきっかけに、2015年秋の会報を作られたとお聞きしました。
藤井はい。かつては定期的に発行していましたが、最近は滞ってしまっていたんです。血友病に関する情報があふれているなか、情報を整理し、届けるべき情報を伝えていくためにやはり会報が必要だと感じ、久しぶりに会報を発行しました(写真)。この号では、会長からの挨拶や、三重県に引っ越した元会員さんが三重県ヘモフィリア友の会の様子を紹介する記事などを掲載しています。
―――今後の活動について教えてください。
藤井正直いいまして、全国のほかの患者会さんに比べるとそれほど活発に活動をしているわけではないというのが現状です。今後は、多くの方が気軽に参加でき、ざっくばらんに話せる機会を増やせるといいですね。血液製剤の最新情報など、治療に役立つ情報ももちろん大切ですが、患者さん同士がそうした交流の場を持つ、ということがなにより重要だと思います。
―――これからはより活発な患者会になっていきそうですね。
藤井私もまだ事務局を担当することになったばかりなので、試行錯誤はあると思います。全国ヘモフィリア友の会のように、血友病治療全体に対して提言していくようなことは難しいかもしれませんが、例えば、岩手県内で血友病治療に携わる先生の数を維持してほしいとか、声を出していく必要はあると思っています。また、災害時の人的なネットワークの構築も患者会が中心となって進めていければと考えています。
―――最後に、この記事をご覧になっている読者の方にメッセージをお願いします。
藤井私は、「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」という宮沢賢治の言葉が好きなんです。血液凝固因子製剤が開発され、定期補充療法が導入されて、血友病の患者さんも一般の人と変わらない生活を送れるようになりました。しかし、その恩恵を患者さんすべてが享受しているわけではないと思います。その意味では、患者会は患者さん全体の幸福を考える存在であるべきだと思いますし、それによって患者さんも幸福になることが理想です。ぜひ患者会に入ってそこから情報を入手し、また、同じ病気をもった仲間と情報交換をしてほしいと考えています。