第3回 患者会インタビュー/広島県ヘモフィリア友の会(広友会)
永らく休止状態だった広島県ヘモフィリア友の会(広友会)が再建されたのは1985年。その30周年の節目となる2015年4月に会長に就任した丹野福士さんは、臨床工学を専攻する大学院生。「若い世代が当事者意識をもって患者会を運営していくことがとても大切」と語る丹野さんに、広友会の活動や将来についてお話をうかがいました。
――― 丹野さんはいつごろから患者会に参加されたのでしょうか。
丹野患者会には物心ついた頃から参加していました。私は人見知りをしてしまうタイプなのですが、サマーキャンプなどの行事で同じ年頃の子どもたちと遊ぶことがとても楽しくて、毎年心待ちにしていたことを思い出します。
小学生当時、私はインヒビターができてしまったために、運動は一切禁止されていて、日常生活も車いすで過ごすことが多かったんです。入院期間が何カ月に及ぶこともありました。「なぜ自分だけがこんな目にあうのだろう」と悩むこともありましたが、それでも明るく毎日を過ごすこともできたのは、患者会に入っていたからかもしれません。
――― 雰囲気のよい患者会なのですね。
丹野広友会は、とにかく明るくてポジティブな患者会です。講演会や自己注射練習などもしますが、興味のあるものをみんなで知り、純粋に楽しもうとする雰囲気があるように思います。
――― どのような経緯で会長に就任されたのでしょうか。
丹野世界血友病連盟(WFH)の第30回学術会議(パリ)や、血友病の国際交流プログラムに参加したことが、患者会の意義や運営について考えるようになったきっかけになりました。そんな時、15年間にわたって広友会をリードされてきた前会長の藤井輝久先生(広島大学病院輸血部准教授)が、医師ではない患者が会長になる必要性をお感じになったこと、若い世代の患者に患者会を担ってもらいたいと思われたこと、この2つの理由から、次期会長として私を指名されました。会長になることについて不安や戸惑いはもちろんありましたが、血友病当事者として精一杯やってみようと思い、今に至ります。
――― 広友会ではどのようなイベントがあるのでしょうか。
丹野毎年行っているイベントは、サマーキャンプ、クリスマス会、総会の3つです。サマーキャンプでは、講演会や自己注射教室もありますが、バーベキューをしたりビンゴゲームをしたり、楽しんでもらえることが大きな目的です。毎年、広友会に所属する患者さんの半数弱の患者さんが参加しています。
クリスマス会はそれよりもやや少なく、15〜20名の患者さんが参加します。ピザやチキンを食べながらゲームをして、純粋に楽しむ会です。総会は毎年4月頃に開いていて、活動報告を行ったり、講師を招いて講演会などを行ったりします。
今後は同世代の参加者を増やすため、「広島東洋カープ観戦ツアー」など、新たなイベントを増やしていきたいですね。さらに若い患者さんへメッセージを伝える手段の基盤である、会のウェブサイトの刷新も検討しています。
――― これからの抱負をお聞かせください。
丹野広友会の今後については、なにより、患者さんとそのご家族の心の負担を減らし、和らいでもらうことができる存在でありたいと考えています。それが昔からのモットーですし、これからもそれは変わりません。
また、患者さんの声を代表する存在であり続ける必要があると思っています。私たちが安心して治療を受けられる状況がこれからも続くかどうかはわからない―。それを考えると、患者会の活動を行っていくことが、適切な治療と適切な医療制度の維持につながっていくと思います。
先輩方が築かれてきた患者会を、私たちの世代が引き継いで、そして今の子供さんたちの代につなげていきたいと考えています。
――― 最後に、この記事をご覧になっている読者の方に
メッセージをお願いします。
丹野患者さんすべてが適切な治療を受けていない状況もあるかもしれません。もし日常生活のなかでなにか不安があるようだったら、お近くの患者会に相談するとよいと思います。広友会も、広島の患者さんに限った団体ではないので、遠方の方でも歓迎です。有意義な時間を持ってもらえると自信を持って言えます。専門的な知識を持った人もたくさんいますので、ぜひ連絡をしていただけたらと思います。