第2回 患者会インタビュー/岩手ヘモフィリア友の会(1/2)
昭和42年に設立された岩手ヘモフィリア友の会は、約半世紀の長きにわたり、岩手県内の血友病患者さんが集う場所として活動を続けてきました。同会事務局の藤井裕康さんに、その活動や今後の展開などについてうかがいました。
―――最近、事務局を担当するようになったそうですね。
藤井前任者が転勤したこともあり、私が担当することになりました。事務局を担当するようになったのは最近ですが、5歳の頃からこの患者会に入っているので長いつきあいがあります。当時は私が小さかったものですから、両親だけがメインで会に参加していました。自分自身が総会などに参加するようになったのは成人してからです。
―――この岩手ヘモフィリア友の会に参加して、最もよかったことは何でしょうか。
藤井患者会に入って得たものは非常に多いです。例えば、大学生のときに外国人の患者さんが講師としていらっしゃったことがあったのですが、その方はスキーをしたり、いろいろなところに出かけられたりしているというじゃないですか。非常に活動的な方だったんですね。驚きました。
私は小さなころから、やはり出血を気にして、運動はできるだけやらないようにしていましたから、その講演を聞いて、よい意味で非常にショックを受けました。この出会いをきっかけに、自分でもチャレンジしたい気持ちがむずむずと芽生えてきて、スキーにもゴルフにも挑戦しました。もちろん担当医に相談した上でですが、海外にも行きました。34歳のとき、仕事の関係でシンガポールに行ったことはよい経験になりました。
患者会に入っていなかったら、活動的になろうという気持ちになることもなかったかもしれませんね。チャレンジをすることによって、私の生活のクオリティは非常に高くなったと思っています。そのきっかけを与えてくれたのが患者会といえます。
―――岩手ヘモフィリア友の会設立はいつごろになるのでしょう?今の会員数は何名くらいですか。
藤井設立されたのは昭和42年です。当時、全国的にいくつかの患者会ができていたようなのですが、岩手県で血友病を診療されていた先生の働きかけをきっかけにこの会が発足しています。現在の会員数は、31名(31家族)です。本会は原則として岩手県内の患者さんを対象とした患者会ですが、秋田県の方も1名いらっしゃいます。東北地方の患者会は、仙台に「東北ヘモフィリア友の会」がありますが、他の県にはないので、秋田の方にもこちらに来ていただいています。
―――岩手県は面積の大きな県なので、その点でのご苦労もあるのではないでしょうか。
藤井私自身は盛岡に近いところにずっと住んでいますから、専門の先生がいる病院にもすぐに通院できますし、治療生活において困ることはそれほどありません。しかしおっしゃるとおり、岩手は広いですから、遠方に住んでいる患者さんがどうされているのかは非常に気になるところです。近くの病院で血液凝固因子製剤は入手していると思いますが、いつでも手に入る環境ではないかもしれませんし、正しい輸注ができているのかということも気になります。定期補充療法をしていない患者さんも少なくないという話も聞きますし、分からないまま自己判断で治療を続けている人もいるかもしれません。
また、交通事故にあったり、大きな出血が起こったりしたときなどにきちんと治療が受けられるのかという問題もあります。そういったことに対して、患者会がサポートできればいいなと考えています。
―――患者会ではどのような活動をしていらっしゃるのでしょうか。
藤井現在は、年に1回開催している総会(写真)が最も大きなイベントです。総会には血友病の専門医の先生などをお招きして講演をしていただき(表)、そのあとは製薬会社の方も交えて情報交換をするなど、会員にとってとても有意義な会になっていると思います。