ライフステージ別
日常生活における
留意点やポイント
血友病患者さんの日常生活
における留意点やポイント
~学童期・中学・⾼校期編
体育の授業を
安全に行うための
留意点
体育の授業の際は、
出血に繋がる行動を想定し、
サポーターを着用するなどの対策を
講じることが重要です。
具体的な対策として、
以下の内容を参考にしてください。
靴は足関節を保護できるハイカットシューズを選び、関節の制限により足の長さが短くなり歩きにくい場合は、中敷や補高で足関節の位置を調整しましょう
必要に応じてサポーターを着用しましょう
頭蓋内出血は、特に気を付けた方がよいので、頭部を強打する行為は避けましょう
柔道・剣道では受け身や型の練習までは可能です
乱取り、地稽古(試合形式の実戦的な練習)についてはお勧めはしませんが、医師とよく相談しましょう
スポーツクラブや
運動部での
活動の際の留意点
スポーツを始めてみたいと思ったとき、
出血に繋がる行動を想定し、
その対策を講じることが大切です。
以下の内容を参考にしてください。
スポーツをする上でのリスクや注意点を理解しましょう
ストレッチが準備のひとつであるように、血友病に対する準備を行いましょう
スポーツの強度・頻度を把握し、治療を調整しましょう
「テニス部に入り、足首の痛みが出現した患者さんが、連日の部活動が原因と考えられたため、医師への相談の上で、部活動から週1回のテニススクールに切り替え、当日の予備的補充療法を実施した」というように医師と相談の上で治療やスポーツの頻度を調節されたケースもあるようです
体育の授業と比較して体への負担が非常に大きくなるため、医師や指導者とあらかじめ相談しておきましょう
スポーツに参加して、どのような活動が出血に繋がるかを経験的に学ぶことは重要です*
『 絵でわかる血友病』(世界血友病連盟, 2005年)より一部抜粋
スポーツをする時の
注意点
まずは医師に相談し、
スポーツを楽しむには
どんなことに注意すればよいか、
聞いてみてください。
新たにスポーツを始める際は、
出血のリスクが低いスポーツを選ぶ
などの注意が必要です。
具体的な注意事項として、
以下の内容を参考にしてください。
-
すべての出血を防ぐことはできないかもしれませんが、出血のリスクが低いスポーツを選ぶことが重要です
一般的に活動の強度が低いと思われるなわとびやジョギングなども注意が必要です
怪我をした時、どのくらい薬剤を投与すればよいかが分かるよう、あらかじめ医師に確認して準備しておいてください
どのように準備をすればそのスポーツを行うことが可能かを医師と指導者とよく相談することが重要です
医師と相談し、定期補充療法と予備的補充療法をきちんと行うことを前提に、野球を始めることができた患者さんもいるようです
「出血しないために諦めなければならない場合もある」ということを念頭に置いてください
運動の最中に新たな痛みや出血が生じた場合、詳しく記録をとっておき、医師に相談することが重要です*
『 血友病患者のためのエクササイズ』(厚生労働科学研究事業「HIV・HCV重複感染血友病患者の長期療養に関する患者参加型研究」2011年度分担研究)より一部抜粋
もっとくわしく
学校生活における
保護者の方の
不安の軽減に向けて
お子さんが学校生活を送るにあたり、
保護者の方は
不安になることもありますよね。
不安を軽減する一助として、
以下の内容を参考にしてください。
ご家族と学校の先生が率直に話し合える場が重要です。ぜひとも学校の先生と接する機会を増やしましょう
クラスの係や委員を引き受け、幼稚園、学校へ足を運ぶ機会を増やすことで先生とのコミュニケーションを増やしたり、子ども達の普段の様子を見るきっかけにするなどして工夫されている方もいるようです
学校の先生のちょっとした声がけと配慮が助けになることを、学校の先生に理解してもらいましょう
学校の先生に病気や症状、対処法について、もっとよく知ってもらいましょう
担任の先生に加え、養護教員を交えて血友病の話をするとスムーズに進むケースもあるそうです
修学旅行への
参加に向けて
修学旅行には、
それをきっかけに
自己注射ができるようになるなどの
メリットがあります。
一方、親元を離れて
初めて自己注射をする際には
準備が必要です。
以下の内容を参考にしてください。
医師から「定期補充療法や予備的補充療法を行い参加されている人も少なくない」という勧めから、修学旅行をきっかけに自己注射を練習してできるようになり、先生もほめてくれたという患者さんのお話もあるようです
また、修学旅行をきっかけに自己注射ができるようになったことで
●親の手間が減った
●痛みを調整しやすくなった
●学校生活などの不安が軽減され、以前より活動的になった
などの声もあるそうです初日は出かける前に自宅で輸注してください
自己注射ができる場合は、修学旅行中に自己注射をする可能性があることを先生に伝えておいてください輸注するために清潔でプライバシーが保たれるスペースを宿泊先へ事前に手配しておくか、職員の部屋を使うことを了解してもらうよう学校側に伝えておいてください
自己注射ができない場合、旅行先で輸注をしてくれる病院を確認しておくことも重要です
その場合には、紹介状・健康保険証・製剤・輸注セットなどを持参してください
血友病患者さんのサマーキャンプへの
参加に向けて
血友病患者会や医療施設などが主催するサマーキャンプへの参加は、
自己注射を始めるきっかけになるなど、
患者さんにとって
多くのメリットがあります。
以下の内容を参考にしてください。
みんなと楽しく過ごせるか不安もあるかと思いますが、薪割り、火起こし、料理など、楽しいことがたくさんあります
年が近い同じ血友病の患者さんと友達になって遊ぶことができます
悩んでいるのは自分だけではない、と気づくことにつながります
実際にキャンプに参加して、共感・相談できる相手が見つかり、自然に病気や治療を受け入れるようになったケースもあるようです
サマーキャンプで初めて「血が止まりにくい病気」ということを知るお子さんもいます(年中・年長の園児など)
情報交換の場としても貴重です
兄弟や姉妹も一緒に参加すると、血友病のことをより知る機会となります
定期補充療法が
面倒だと思い始めた時の
留意点とアドバイス
「出血の予防が期待できる」
という定期補充療法のメリットを、
今一度確認してみてください。
定期補充療法のメリット
出血の予防が期待できます
関節障害がひどくならないようにすることが期待できます
日常生活における活動制限を取り除くことが期待できます
アドバイス
紙での輸注記録が面倒な時はアプリの活用なども検討してみてください
自己注射を行う際は周囲の方のサポートが不可欠です
知識や手技などで分からないことを1人で抱え込まずに、医師や看護師に相談してみてください
誰だって何かしら自分にとっての面倒なことがあるはずです。そんな時は医師や看護師に相談しましょう
もっとくわしく
現在の
治療内容についての
医師との
コミュニケーション
以下の内容のような
出血時や生活スタイルが変わる時、
現在の治療をそのまま継続するかどうか、
定期的に医師と相談してみてください。
出血をした時はもちろん、進級する時、運動量/運動強度が変わる時、生活スタイルが変わる時、今の治療を継続するのがよいのか定期的に医師と相談してみてください
関節の評価を可能な限り、 1年に1回は行うよう医師に確認してください
出血を繰り返す関節ができたら要注意です。6ヵ月に3回以上自然出血が起こる関節のことを「ターゲットジョイント」とよびます
以下の症状についても要注意となります
- 出血の兆候として、違和感の出現:ちくちくする、むずむずする、引っ張られる感じ、なんとなく重たい、いつもと違う
- 出血したら:痛み(押さえたり動かしてみるのも含む)、腫れる、熱感
やりたいことや
将来の夢に向けて
血友病であっても
将来の夢や日常生活における
やりたいことを諦める必要はありません。
以下の内容を参考に、
医師と相談してみてください。
患者さんご本人がどのような夢を持っているのか、医師に相談するのもよいでしょう
やりたいことを実現するためには、医師とよく話し合い、カウンセラーや看護師の方にも聞いてもらうとよいでしょう
激しいスポーツをしている場合、補充療法において薬剤の効いている時間帯や効果が弱まってくる時間帯について、医師に相談し、安全にスポーツを行えるような投与パターンなども確認するとよいでしょう
もっとくわしく