ライフステージ別
日常生活における
留意点やポイント
血友病患者さんの日常生活
における留意点やポイント
~成人・高齢期編
子供を持つ時の留意点
子供を持つことに
不安を感じている患者さんや
保因者は少なくありません。
一方、不安を乗り越えて子供を産み、育てている方も多くいます。
以下の内容を参考にしてください。
適切な分娩方法について産婦人科の医師と話し合ってください
血友病の遺伝子は女性(保因者)を通して伝えられるため、女の子が生まれその子が将来、子どもを生む際、生まれた子どもが血友病を発症する可能性があります
女の子であれば、将来的には保因者であることを告げる必要があることも考えてください
ウォーキングや
筋力トレーニング時の
留意点
ウォーキングや筋力トレーニングは、
生活習慣病の予防や
関節の負担軽減に繋がりますが、
足にあった靴を履くなど
対策を講じることが重要です。
具体的には以下を参考にしてください。
ウォーキング
足にあった靴を履きましょう(足関節を保護できるハイカットの靴など)
関節が痛くて長く歩くことが難しい患者さんの場合、関節に負担の少ない方法で行いましょう
(例:水中ウォーキング、ノルディックウォーキング)
<18~64歳の運動の基準>
強度が3メッツ※以上の運動を4メッツ・時/週、具体的には息が弾み汗をかく程度の運動を毎週60分行うようにしましょう
(例:ウォーキングは4.3メッツ、ラジオ体操第1は4.0メッツ)
※運動強度の単位で、安静時を1とした時と比較して何倍のエネルギーを消費するかで活動の強度を示したもの*
筋力トレーニング
関節に負担をかけずに筋力を向上させる等尺性運動(関節を動かさないで行うトレーニング、例:腕を柱に押し付けるようなトレーニング)を日常生活で行うとよいでしょう**
腹筋運動を誤った方法で行い、腸腰筋出血を起こしてしまうこともあるため、事前にきちんと指導を受けてから、筋力トレーニングを行うようにしましょう**
骨を丈夫にし、筋力を強化することにより、関節保護の役割が期待できるため、適度な運動は重要です***
*厚生労働省「運動基準・運動指針の改定に関する検討会報告書」(2013年3月)より一部抜粋
**Frontiers in Haemophilia 4(2): 58-69, 2017.より一部抜粋
***『絵でわかる血友病』(世界血友病連盟, 2005年)より一部抜粋
スポーツや
運動習慣のない
成人の血友病患者さんの
留意点
スポーツや運動は、
生活習慣病の予防に
繋がるため重要です。
スポーツや運動を行う際には
以下のことに留意して
始めてみてください。
まずは歩数計をつけてみましょう*
最初から高い目標を掲げないようにしましょう
(例:通勤の1駅分だけ徒歩に切り替えることから始めるなど)*患者会などで成功体験を共有し、相談できる機会を持つとよいでしょう
(それによりモチベーションが上がるため)*日々の活動、ウォーキング、自転車、階段を上ることでも有益な効果が期待できます**
定期的な運動は糖尿病、心臓疾患、肥満、骨粗鬆症、癌などの疾患予防に重要です***
Frontiers in Haemophilia 4(2): 58-69, 2017.より一部抜粋
*『血友病患者のためのエクササイズ』(厚生労働科学研究事業「HIV・HCV重複感染血友病患者の長期療養に関する患者参加型研究」2011年度分担研究)より一部抜粋
**『絵でわかる血友病』(世界血友病連盟, 2005年)より一部抜粋
血友病の
エイジングに関する
問題とそのケア
年齢を重ねるにつれて、
これまでとは異なる
新たな問題が出てきます。
以下のことに留意していただき、
ご自身の生活習慣、運動、食事などを
見直してみてください。
エイジングで現れやすい問題
身体的問題:生活習慣病、骨粗鬆症、悪性腫瘍、血友病性関節症、慢性腎疾患、老眼や白内障など
心理的問題:不安感・抑うつ状態など
社会的問題:在宅や長期療養型の介護支援、介護サービスなど
留意点
自分のやりたいことを見つけることが重要です。目的を持っていると意欲が続くことに繋がります
生活習慣病の予防では塩分量、食事内容と量に気を配り、適度な運動を心がけてください
喫煙や過食はリスクとなるため、禁煙し、食べ過ぎないように心がけてください
関節症による運動不足や日光を浴びる機会が少ないなど、血友病患者さんは骨粗鬆症になりやすいので、バランスの良い食事、カルシウムとビタミンDの摂取、日光浴、適度な運動を心がけてください
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現在の
治療内容についての
医師との
コミュニケーション
血友病であっても
将来の夢や日常生活における
やりたいことを諦める必要はありません。
以下の内容を参考に、
医師と相談してみてください。
出血をした時はもちろん、進級する時、運動量/運動強度が変わる時、生活スタイルが変わる時、今の治療を継続するのがよいのか定期的に医師と相談してみてください
関節の評価を可能な限り、 1年に1回は行うよう医師に確認してください
出血を繰り返す関節ができたら要注意です。6ヵ月に3回以上自然出血が起こる関節のことを「ターゲットジョイント」とよびます
以下の症状についても要注意となります
- 出血の兆候として、違和感の出現:ちくちくする、むずむずする、引っ張られる感じ、なんとなく重たい、いつもと違う
- 出血したら:痛み(押さえたり動かしてみるのも含む)、腫れる、熱感
やりたいことや
将来の夢に向けて
血友病であっても
将来の夢や日常生活における
やりたいことを諦める必要はありません。
以下の内容を参考に、
医師と相談してみてください。
患者さんご本人がどのような夢を持っているのか、医師に相談するのもよいでしょう
やりたいことを実現するためには、医師とよく話し合い、カウンセラーや看護師の方にも聞いてもらうとよいでしょう
激しいスポーツをしている場合、補充療法において薬剤の効いている時間帯や効果が弱まってくる時間帯について、医師に相談し、安全にスポーツを行えるような投与パターンなども確認するとよいでしょう
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